高い空

一章

「お父さん？」

心配そうな顔でこちらを見ていた。知らずに涙が出ていたようだ。

「なんでもないよ。行こう」

テールの小さい手を握り、歩きだす。

今は、テールの為に笑っていなきゃ。
この子の笑みが消えないように。そう、思った。
強く思った。

自分は一人じゃないから、テールの為に頑張らなきゃって。

でも……。
歩けば歩く程に、時間が経てば経つ程に、テールの話を聞けば聞く程に、不安が募る。
心が押し潰されそうになる。息が苦しくなる。涙が零れそうに……叫びたくなる。