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テールははしゃいでいた。もう、目まぐるしい位に。
それは凄く嬉しいのに、いつか追っ手が来るのではないか? とか、テールの話す言葉に、聞き慣れない『ID』と言う単語が混ざっているのが、酷く気掛かりでならない。
あそこに監禁される前は、IDなんて一部の会社か、金持ちの道楽でしかなかった。
それが今は一般市民にまで浸透している?
どれほどの年月をかけて?
ビルの窓ガラスに自分の姿が写る。
その姿は、解っていても25・6にしか見えない。
テールは13・4歳くらい。
テールが産まれたのは、監禁された直後だろう。
外は何もかも解らなくなる位時間が経過している。
テールは10数年の時間が経過している。
自分は、あの時から全く変わっていない。
それこそ、切ろうと思っていた前髪もそのまま。
駄目だ。
深く考えてはいけない。
不安が過ぎて恐ろしくなるから。
笑えなくなってしまうから。
テールの為にも笑っていないと。
細かい霧雨の中、テールと手を繋いでどれくらい歩いただろう。
テールが歌い始めた童謡に合わせて手を振る。
車みたいな乗り物はたくさんあるのに、人の姿は全くない。乗り物も、カラのまま走ってるのか、高いところを走ってるのかしかない。
外に出てから、人の姿を全く見ていない。
胸が苦しくなる位、何もかもが恐ろしい。
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