第一話 黒雲の大地

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ライトの外見は金髪碧眼で、西洋人らしい。だが、肌の色は東洋人のような濃い肌色をしている。 ヴァイは黒髪黒眼の東洋人のような顔立ちをしている。ライトとは幼なじみである。 二人の意見がまとまった時から、出られる場所の探索が始まった。 通気口から始まり、街の隅々、郊外に当たる場所等いたる様々な場所を探し、二人は好奇心を満たそうと奔走した。 そして、一つの結論に至る。 それは、工事に混ざって上への穴を掘ることだ。 ヴァイの父親は工場の指揮者である。二人が入るのは簡単だろう。 二人の地上浮上計画は、場所や作戦を立てるに留まらなかった。 彼らは廃棄処分されかけていた横穴開発作業ドリラービッグの掘削機の付け根に小型ブースターを付け、足の裏に機体が一メートルは浮かばせることが出来るブースターを装備させたのだ。 その五メートルほどしかない高さとマッシボディでは分からないが、ジャンプ移動が可能になったのだ。 ちなみにこのブースター類は今の作業機に標準装備されている。更に前進後進も出来る。 それによりドリラービッグの様な旧式と比べ、作業効率と避難速度が上昇しているのだ。 ライトはドリラーと同じく破損し破棄されていたブースターに必要な部品を見繕い、修繕していった。 ヴァイは機体を改造し、ブースターを取り付けるスペースの確保と溶接による取り付けを担当した。 そして二人が協力して、操縦席から操作出来る様にする配線を設備していく。 機体の改装作業は丸々五ヶ月掛かった。 そして、ライト達は研修として工事現場に入り込んだ。 二人は、それまでの苦労を無駄にしないよう絶対に失敗は出来ないと、誓った。 再び太陽に照らされた大地を見る為に。
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