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「へぇ、お前ら二人でか!ヴァイが親方のガキで、ライトも親方に厄介になってるから知識はちょいとは有るとはいえ、よく形になったもんだな!」
「ブースター操作が独立してるだけあって、反応が良いな。こりゃあ、上昇だけは俺等のドリラーは負けるな」
時間をかけて二人が組み上げたドリラーは現職の人から見ても驚きの存在となった。
特にブースターの反応は二人の拘りであり、それを褒められた事に照れている。
ライトは後頭部をかき、ヴァイは鼻の頭を爪で擦った。
「ヴァイ、ライト。モノを作れた事は褒めてやる。
けどな、工事は道具だけが重要じゃねぇ。おめーらの判断が重要だって事を理解しろ!」
「「はい!」」
「今日は初日だ。先ずは掘る事よりも俺等の仕事を見て、どう判断するかの手本にするんだ」
二人は現場に入る事が出来た。
しかし、作業の何処で目的の上に穴を掘るかを見定める事が一番の課題だ。
それが出来なくてはこの作戦は失敗。水の泡だ。
そう考えていた時、道が二手に分かれていた。
「今日は左だ。分かったな!」
「「「オウ!」」」
「…左か。じゃあオレ達は、右側か」
「ライト、一時停止だ。止まって距離を稼ぐぞ。足音でもバレちゃいけねぇんだ」
「分かった。……止まるぞ」
彼らドリラーは停止した。幸いに、後ろを付いていっていたので誰にも見つからずに済んだ。
「……よし、いくぞ!」
「オウ!」
丁度、作業員達の会話のようになってしまった。
ここからが本番だ。ライトは自分の顔を叩いて気合いを入れ直す。
「ヴァイ、どっちが掘る?」
「ん~。ライトがやってくれ」
「分かった」
これも作戦の一つである。一人が横穴を掘っているふりをしてもう一人が上へ掘る、と言うものである。そうすれば、掘削音は横穴掘りのものと勘違いさせられるからだ。
……この作戦の成功は完全にライトの手に掛かっている。ライトの手に汗が滲んできた。
だが、ライトは前を見据える。地上を見るために。光溢れる地上へ行く為に!
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