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ひたすら上へ掘り進めているライトの顔が、苦悶の表情になる。
固い土に苦戦しているのだ。
普通の作業ではあまり進まない。ブースターを吹かして地面に与える衝撃を増やして少しでも採掘速度を上げ、工程を完了しようと必死だ。
『ライト~。今どれ位だ?』
トランシーバーからヴァイの声が響く。
ライトは運転席に設置されたの検深計を見た。
「今は地上から五十七メートルのところ。……お!柔らかくなってきた!」
「じゃ、早く頼むぜ。そろそろ暇だ!」
「分かった!」
作業開始から一時間半位が経過していた。
今の所は誰にも感づかれず、穴を掘れていた。
ドリルで土を掘り、ドリル先端のアームで土をどかして新たな足場を作り、穴を掘っている。
ジグザグに伸びる縦穴は、確実に地上へ向かっている。
地質が柔らかくなった為、ライトの作業も効率化し更に進む速度が速くなる。
「後少し、後少し」
次々と数字を小さくしていく目盛りを見つめながら、ライトは言った。
彼が気がつくと検深計は二メートルと表示している。
そして、掘削機は天井を破った!
「やった!地上だ!!」
しかし、地上の風景は完全にライトを裏切った。
「な、なんだこれ……!」
太陽は黒雲に隠れ、夜のように暗い。
そして、人型ロボットと生々しい異常生物との戦いが繰り広げられていた。
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