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声が、聴こえる
何度も何度も、呼ぶ声が
――呼べ
誰
誰なの
――呼べ。我の名を
名前、
名前なんて
分からない
――我が名は、『 』…
「どうしたの朝音。元気ないよ…?」
ついボーっとしていた朝音を、夏祈が心配そうに見つめる
「うん…最近変な夢見て。」
「朝音も?」
気味悪げな顔を作り、夏祈は朝音を見つめた
夏祈の返事に疑問を抱く朝音
「朝音も…って夏祈も見てるの?変な夢」
「うん。あの男に会ってから、毎日…。名前を呼べって、言ってる」
朝音は驚愕した
夏祈も、見てる
名前を呼べと繰り返す夢
同じ、あの男に会ってから
そこでふと、翡波のことが気になった
自分達が見てるなら、翡波だって見てるはず
「なら、翡波。翡波は…?」
「分からない。でも翡波もアイツに会ってるし…」
見てるかもしれない
この不思議な夢を
「翡波に聞こう?もしこの夢がアイツの言ってた力のことなら…」
「宿神が、現れる…?」
朝音の言葉を夏祈が引き継ぎ、それに朝音は頷いた
己の心の神
不安定な存在である、宿神
騎士としての、力
考えていてもらちがあかず、二人は学校へと急いだ
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