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朝音が目を開けると、そこは一面真っ白で殺風景な世界が広がっていた
建造物どころか自分以外の人影すら見受けられない
ただ広いだけのモノクロな景色だ
「どこなの?ここ」
自分は確か翡波の部屋にいたはずだ
そしたら声が聞こえて、引っ張られるように意識を飛ばした
そうだ
「あの声に、引きずられて…」
―よく来た。我は、お前の神
さっきのように唐突に聞こえる声
しかし、先ほどまでとは違い、頭に響くものではない
―此処はお前と我との狭間だ。この世界が、我とお前を隔てるもの。
「隔てる?」
つい口をついて出た疑問
宿神は騎士の力だときいている
だのに何故一線を引かれているのだろうか
以外にも、あっさりと宿神はそれを答えた
―そう。この世界より互いが互いの心に踏み込まないようにされている。もし踏み込めば…
言葉を切った宿神
朝音は続きを待った
―宿主の心が、死ぬ
「つっ…」
心が死ぬ
つまり、自我の崩壊、感情の欠落
怖れのあまり蒼白になった朝音に宿神は告げた
―気にするな。我はお前の心に踏み込みはしない。 お前が望めば別だかな
「え…?」
後半は聞こえなかった朝音
宿神は目をつむった
まだ教えるには、早い
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