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首を傾げている朝音に、宿神は話を剃らすように言った
―我の名を呼べ、宿主。そして我を解放しろ
宿神の解放
騎士としての戦う力
「でも、貴方の名前…分からないよ…」
切な気に顔を歪め、姿の見えない神に返答を求める
―否、聞こえていないのではない。覚えていないだけだ
聞こえてないんじゃない、覚えてない…だけ
「貴方の、名前…」
ならばと、朝音は思い出すために記憶を辿った
だが、やはり分からない
―宿主、思い出すのではない。真の淀みない思いを持ち、心で我に問うのだ。
朝音は目を閉じ、宿神を心で呼んだ
名前を、教えて
貴方の、名前を
―宿主、名を教えるにあたり問がある。お前は《何の為に我を欲する》?
何の為に、力を求める?
「私は…」
考えて思い浮かぶのは、翡波、夏祈、家族…
大切な人達
私は…
「大切な人を守りたい!」
突如、朝音の体が眩しい光に包まれる
その光はやがて朝音と分離し、パンと弾けた
光と入れ替わりに現れたのは、金の髪を持つ男
朝音を見つめる赤褐色の瞳は穏やかに煌めき、纏う衣は風が無いのに無造作に揺らめく
背には身の丈ほどの大刀を掛けていた
「主の志、しかと受け取った。我が名は凰蓮(コウレン)。虎西の宿神だ」
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