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その後、食器を洗い終えた翡波が戻ってきた
「おかえりー」
「おかえり翡波」
「…ああ」
翡波は二人の言葉に適当に返事をし、視線をずらした
見ているのは朝音と夏祈の手元
野菜切りが今だ終わっていないのだ
翡波は眉間に皺を寄せ、冷静を保ちつつ言った
「お前たちは一体今まで何をしていた…?」
怒って…る?
朝音と夏祈は瞬時に固まった
あれは怒ってる…軽くだけど怒ってる
「「ご、めんなさい…」」
呆れた風情で溜め息をつき、翡波は夏祈から包丁を半奪い取るようにして受け取った
「夏祈は食器準備してろ。俺がやる。」
翡波が料理…
夏祈の切りかけであるジャガイモを手に取り、素早く切っていく
皮を剥き芽をとり、一口サイズよりも少し大きめに切る
料理慣れしているのだろうか
動きに無駄がないように思える
二人が全く動いていないことに翡波の目が煌めいた
「お前ら…さっさと動け!」
ビクッと身をすくませてからテキパキと動き出す二人
高校生のくせにこれでいいのか
翡波は密かに思い小さく嘆息する
夏祈は食器を落としそうになりながら運び、隣の朝音は必死にジャガイモの皮を剥いている
苦労が絶えることはない
翡波は本日何回目かの溜め息をついた…
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