崩れだした日常

3/16
前へ
/51ページ
次へ
ある昼下がり 屋上に一人の少女がたたずんでいた 茶色がかった黒のセミロングに、空を見つめる紅の瞳 現在柊高校一年生、深崎朝音だ 見るからに小動物というイメージを持つ朝音は、誰からも好かれる人気者である 何故そんな人気者が一人で屋上に居るのか それは、待ち合わせをしているからだった 「遅いなぁ二人共。」 すでに一年生は午前授業を終えているから、ここに来るのはそろそろのはずなのだが。 朝音は軽く溜め息をつき、フェンスにもたれかかった 「お腹空いたじゃんよ…」 ボソリと呟いた声は誰にも拾われる事なく風に消える 先に食べながら待っていようとしてその場に座り込んだそのとき ガチャリと、扉が開く音がした 朝音が顔を向けると、待ち望んでいた二人の姿が見える 「翡波!夏祈!」 待ってましたと言わんばかりに名を呼ばれ、二人は眉を八の字に曲げた 「はいはい。遅くなって悪かったな。」 「職員室に呼ばれててね」 順に言葉を告げ、朝音の側に腰かける
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加