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向かって右には霧生翡波(キリュウヒナミ)。顎につく程度のばらついた黒髪に漆黒の瞳を持つ好青年だ
道場の次期家元だとかそうでないとか…とにかく金持ちである
「ほら、お昼にしよ?お腹空いたんでしょ?」
朝音を気にかけているのは向かって左に座っている式条夏祈(シキジョウナツキ)だ
茶色のセミロングを左右でくくり、朝音を写している瞳は透けるように淡い翠
朝音のような人気者ではないが、密かに思う者が多いときく
いうなら隠れた美少女だろうか
どちらにせよ、二人とも結構な有名人だ
「うん。もー先に食べちゃおうかと思ってたよ」
こんな風に毎日を過ごしていくことは当たり前で
変わることなんてないと、
私達はこのとき、思っていた
そして、当たり前というのが、どれだけ貴重なものだったのか
このすぐ後で
私達は思い知ることになる
黒い陰の、出現によって…――。
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