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急に聴こえた得体のしれない声に、夏祈は思わず叫んだ
「貴方誰!?どうして私達が異変に気付いているって分かるの!?」
夏祈の叫び声に、辺りの群衆がざわめきだす
このままではマズイと感じ、翡波が夏祈の腕を引っ張った
「ここで騒ぐのはマズイ。まずは人通りのないとこに行くぞ」
朝音には目で合図をし、素早く三人はその場を後にする
朝音は足早に歩きながら、僅かに感じる視線に首を傾げていた
「ここなら大丈夫だろ」
翡波が足を止めたのは、さっきの場所からそう遠くない川原だった
掴んでいた夏祈の腕を離し、あぐらをかいて座り込む
朝音と夏祈も、それにならって手頃な岩に腰かけた
風と水の流れる音だけが耳に届く
そのとき、再びさっきの声がした
「空の異変に気付きし者、お前達は選ばれた」
意味の分からない言葉を紡ぎ、淡々と続けていく
「空の異変を正す使命がお前達にある。サダメに従い、天を正せ。」
その声に、朝音が返した
「話があるなら姿を見せて!貴方は誰!」
少しの間をおき、皆からさほど距離の無い場所に影が降り立った
つむじで結われた長い黒髪に、無機質に輝く青の瞳。漆黒の衣を身に纏い腰には長刀を携えている明らかに自分達とは違った
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