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かまきりは球体を胸に抱き抱え、立ち上がって旅人に言います。
「じゃあ、私は行くよ」
少しだけ笑いかけました。
「さよなら。機械の殺し屋さん」
旅人に別れを告げると、星のかまきりは背中の羽を大きく広げ、夜空へと飛び立ちました。
光の軌跡を描きながら、高く高く空を昇っていきます。
その姿は見る見るうちに夜の闇に溶けていってしまいました。
旅人は、それを眺めていました。
しばらくすると、星の散りばめられた空に、きらりと新たな星が一つ現れました。
それは他のどの星よりも明るく美しく瞬いた後、かすかな光になり、やがてもとの闇に消え去りました。
旅人はそれを見ていました。
それが消えた後も、ずっと長い間、星空を見ていました。
おわり
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