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輝を教室の端から端まで這わせるほど蹴り飛ばした犯人・槙村くんは、少しも悪びれることなく淡々と言葉を交わす。
その様はまるで余計怒りを煽っているようで(実際そうかもしれないけど)輝もまんまと乗せられて憤怒している。
そんな時でも私を心配してくれていることに少し驚いていると、槙村くんがすかさず私に謝罪した。
これが初めての会話なのに、いきなり“あゆちゃん”呼ばわりで、さっきからずっと思ってたけど、輝には目もくれてない。
…輝に負けじとキャラの濃そうな人だと思った。
「オカマだし、ちょっとくらい大丈夫だべ」
「いやいや、“オカマだし”の意味がわからない。別に怪我はしてないけど、でも普通に驚いたし、ちょっと痛いし、謝んなさいよ」
「ゴリカマだし大丈夫だべ」
「ゴリ…ッ!?今すぐ謝って!土下座して!!」
「ウルサイです。席について桐山くん」
怒りの治まらない輝を、委員長の薫が運んできた新教材の角で強打し制圧。
そして何事もなかったように槙村くんは着席。
輝はと言えば、声にもならない痛みを伴い、涙目で私にだけしか聞こえないくらいに、小さくぼやいていた。
「もうイヤ…このクラス…」
…こうして輝の嘆きも虚しく、高校生活2年目が始まったのだ。
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