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6月の初め。
長く辛い中間テストが終われば、瞬く間に体育祭がやってくる。
「それではクラス対抗リレーの選手は、桐山くんに決定します」
「ちょっと待ってちょうだい!」
「はい、桐山くん」
「アタシは100メートルも障害物も借り物にも出るのよ!?これ以上は無理よ!」
「50メートル6秒切る人間に拒否権はありません。みんなのために失敗なきベストを尽くして下さい」
「…いま、戦時下で赤紙を渡された人の気持ちがよくわかるわ…」
「逃げられないってことだね」
「お前なら大丈夫。体力ありあまってんだろゴリカマ」
「アンタは凹んでるアタシの心をさらに怒りの感情で乱さないで!」
優勝クラスには、賞品として焼肉屋無料招待券(人数分)が贈られる。
その為なら妥協なき判断を下す、体育祭実行委員の薫。
そんな冷徹な仕打ちに落胆する輝の背中をポンと叩くと、さらに横から槙村くんが、またやる気なさそうに失礼極まりない物言いで元気づけた。
それに対して輝は激昂して、槙村くんに厳しくいい放つ。
…このクラスになって3ヶ月目。
もう見慣れた光景だけど、私は前から気になることがあった。
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