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「あつーい」
「焼けるね、こりゃ」
「日焼け止め貸そうか?」
「貸して貸して~」
「アタシも貸してー!」
1週間後。
体育祭当日は、この夏初の真夏日だった。
ぞろぞろとグラウンドに向かう途中、薫と私が容赦ない日差しにだれながらも、日焼け予防対策をしていると、さも自然な風に輝が乱入した。
「…何で?」
「何でって何よ」
「男が何気にしてんの?」
「紫外線は乙女の大敵じゃないの!この切ない乙女心、わかって…」
まくし立てる私と薫に、必死に陽射しを手で避ける仕草をして懇願する輝。
すると薫は日焼け止めをすっと差し出した。
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