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雰囲気を察して輝が声をかけると、女の子たちはまたさらに赤くなる。
爽やかに笑いかけるその様は、見かけだけなら完璧な憧れの先輩像だ。
私の手を引いてその場を過ぎ去る輝を、後輩たちはうっとりと見詰めていた。
「…今の子たち、絶対輝に惚れたよ」
「でしょうね」
得意げに言う輝に、何故だか妙な怒りが込み上げて、私は繋がれたままの手を振り払う。
「いつまで繋いでンの」
「いいじゃない。女の子同士ならみんなするでしょ」
「女の子同士じゃないんだけど」
「え!あゆってば男だったの?!」
「アンタだよ!」
いつものノリの言葉にも、つい声を荒げてしまう。
…何だか変だ。
自分でも分かるほどの感情の起伏の激しさに、どうにか落ち着こうと、私は極めて冷静に告げた。
「…ああいう子たちもいるんだから、手とか無駄に繋がない方がいいんじゃない?」
すると輝は一瞬驚いたような顔して、でもすぐに憎らしく口元をにやりとつり上げて言った。
「ヤキモチ?」
「ち、違っ」
「だってあゆの今の顔、明らかに拗ねてたもの~」
「違うって言ってンじゃん!」
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