2672人が本棚に入れています
本棚に追加
そうやって指摘されると、途端に恥ずかしくなってくる。
でも、からかわれて照れた顔なんて絶対見られたくなくて、私は覗き込んでくる輝のイタズラな顔を必死に押し退けていた。
そんな攻防をひとしきり終えると、抵抗し疲れた私の頭上に、なんとも明朗な声が降りかかった。
「いいじゃない。別に誰がどう思っても。アタシは大好きな子と手繋ぎたいの。…あゆはイヤ?」
名前に違わぬ眩しい笑顔で、輝は言う。
そしてまた私の手を取って歩き出した。
「…輝は、可愛い後輩たちに誤解されてもいいの?」
「誤解なんてどうでもいいわ。真実はいつも1つよ」
「何ソレ。パクリ?」
手を引かれる斜め後ろから見上げると、綺麗な顎のラインを動かし、視線を絡ませないまま輝はキッパリと断言した。
その台詞に思い浮かべたのは有名な名探偵。
私が笑いながら言うと、輝もアタシも思った、と一緒に笑った。
最初のコメントを投稿しよう!