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輝の意思のある言葉を聞いてからと言うもの、人目を気にしての恥じらいと後ろめたさが、酷くちっぽけなものに思えた。
輝は強くて、見た目じゃなくカッコイイ人。
私にないものをたくさん持っていて、輝といると、私も心のまま自分の気持ちを素直に言える気さえ起こしてくれる。
…そう。今なら言える気がする…
私は包み込まれるように繋がれている指先に、ギュッと力を込めた。
「ぁ、のね、輝…」
「なぁに?」
「こッ、今年もよろ「邪魔だよオカマ」
どもりながらも私が輝に伝えたかった、“今年もよろしく”は、ちょうど教室の出入口に無防備に立っていた輝が、背後から勢いよく蹴り飛ばされて、見事に打ち消されてしまった。
「ッッなにすんのよアンター!」
「だってお前が悪いんじゃん。入り口に突っ立ってんなよ」
「だからって蹴ることないでしょお!?あゆまで巻き込んでたらどうすんのよ!」
「あ、ごめんね。あゆちゃん」
「や、別に…」
「てゆうかまずアタシに謝ってッ」
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