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『俺、嘘は嫌いだから』
付き合い始めの頃に、アキがあたしに言った言葉。
嘘が嫌い。
好きな人なんていないよ。
あたしだって嫌いだもん。
それは普通のこと。
だからあたしは――
『うん、あたしは嘘をつかないよ』
安易に交わした約束。
アキに好かれたくて
嫌われたくなくて
簡単なことだと、アキの言葉の意味を深く考えなくて
あたしはアキを真っ直ぐ見つめて言った。
『約束だよ?付き合い出して初めての約束。二人で守ろうね』
アキはあたしの心を探るようにあたしを見て、右手の小指を伸ばして差し出した。
指切りげんまん。
18才の男子が、まさか真剣な面持ちで指切りげんまんを求めてくるなんて、初々しくてまた一つアキを好きになった。
応えるようにあたしも右手の小指をアキの小指に絡める。
『指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます、指切った』
幸せだった。
君を笑顔に出来たから。
君の笑顔を守れると思っていたから。
だけど――
あたしはこの時、既にアキに嘘をついていたんだね。
『嘘はつかないよ』という嘘を……
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