エピローグ

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「どういうことだ……?」  病院の霊安室で医師は目の前のことに驚愕していた。  確かに目の前の女性は弾丸を受け、亡くなったはずだ。病院に運ばれたときにはすでに心臓は停止し、手の施しようがなかった。  だがしかし……。 「…………」   芹沢勇希の遺体の口がゆっくりと動いた。何かを囁いているようだが、分からない。  医師は駆け寄り、彼女の首に指を当て脈を確認する。  動いている……。  指に一定のリズムで彼女の体内を流れる血液の脈動が感じられた。 「こんなことが……」  この女性には何の治療もしていない。  だが、その女性の脈はある。  ……蘇生した?  医師は霊安室を飛び出した。このことを早く知らせなければならない。  霊安室には勇希だけが残った。  眠るように目をつむり横たわる彼女の口がゆっくりと動いた。 「神は、甦る……」 WRATH -復讐鬼事件- 【完】
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