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大型トラックに乗っている二人のうち、運転しているのはウォンだった。
「仕方なかったんだよ」
「ターゲットは韓国語を喋れる。そして女だ。最高のターゲットだったよ。だかな作戦決行の日、男と二人だったんだよ。だから二人とも連れてきた」
「そう報告して大丈夫なのか?」
「あぁ、何か特技があれば適材適所のところに組ませる。なければ・・・」
「捕虜にするまでさ」
助手席に座っていた韓国組のリーダー、イ・ホンリュは身震いした。
「韓国じゃあおもしろいことはなかったのか?」
「危険と隣り合わせさ。祖国に帰る時に三十八度線を通ったんだ」
「三十八度線ってあの地雷が埋められている・・・」
「あぁ・・・」
「よく帰ってきたな」
「なんとかな、地雷は一定間隔で埋められているから計っていったのさ」
「すごいな」
そう言ってウォンはタバコの火を片手でつけた。
「そこ右だぞ」
ホンリュが言った。
十字路を右折する。
「休めばいいのに、よっぽど早く帰りたいんだな」
「まあな」
「お前は軍に再入隊するのか?」
「何故そんなことを聞く?」
「やっぱりな・・・」
「何が?」
「こういう最前線で工作活動をするのは郷が貧しいか、何らかの失敗をしたやつだ」
「実は新聞で読んだ。お前キム事件の最高責任しゃだろう?」
「あの事件は前代未聞だ」
「祖国を裏切る働きをしたのだからこの罰は当然だ」
「堅実だね」
「お前は?」
ウォンがホンリュに聞いた。
「俺は原子力研究で爆発事故を起こしちまった。当然クビになった。だが政府の人間がきて、しっかりと与えられた命令をこなせば元の職に戻してやるとね」
「俺も一緒だ。最初は訳がわからなかったが、まさかこんなことになるなんてな」
「同感だ」
「部下はどうなった?」
「あいつらはワゴン車で郷に帰ってるさ」
「報酬は?」
「政府が払う訳無いじゃん。さっき見ただろうあんなに簡単に人を殺すなんて」
「人間として扱っていないのか?」
「心配するな。俺たちは違うさ
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