海の向こう

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どうやらあの時、背後から誰かに殴られたようである。 で今こういう訳のわからない場所にいるってことは誘拐された可能性が高いっていうことだ。 「ここはどこだ?」 さっきの言葉から日本語は通じないと判断した大成は、世界共通語である英語で、しかもできるだけ簡単な英語を使った。 大成は中学校で英語を教えているのでこうしたことは得意だった。 しかし英語は通じなかったらしく、今度はさっきと比べものにならないくらい強いパンチが大成の顔面にきた。 それからは黙っているほうが利口だと考え、不器用な男の手当てを素直に受けた。 怪我の箇所にガーゼを当てた時、ギィとドアの開く音がした。 足音が聞こえる。 どうやら誰かが入ってきたようだ。 声からしてこいつも男であり、そして手当てをしていた男と同じような言語だ。何と無くだが韓国語のイメージがある。 京美がいればなあ・・・ 京美はホームステイを仲裁する会社で働いていて、仕事はアジア当局だった。 なのでアジアの言語はだいたい喋れる。 そういえば・・・ 大成の脇下、額、背中に嫌な汗が流れた。 「京美は!?」 そう言って大成は勢いよく立ち上がった。 今度は顔に二発くらった。 そして床に倒れてからも、馬乗りにされて何発も殴られた。
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