海の向こう

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大成のいる部屋の数十メートル先の部屋に京美はいた。 大成と同じように袋から出された。 一つ違うのは、殴られて気絶させられてないので傷の手当てをされなかったことである。 目隠しをされながら、ここに至までの経緯を思い出していたがしかし、後ろから誰かにハンカチで口を押さえられたところまでしか記憶がない。 大成はどうしたのかしら・・・ 京美はあの真面目な大成が関わっているとは思えなかったのである。 「ここはどこ?」 「あなたの行ったことのないところよ」 声は女。そして日本語じゃない。 アクセントからして朝鮮の言葉かしら? 「行ったことのない所って?それより大成は?」 女の言語と同じにして聞いた。 女は少し戸惑ったようだがすぐに答えた。 「質問は終わり」 そう言って京美の口元を殴った。 仰向けに吹っ飛ばされた。そして女は出ていってしまった。 後ろで縛られた手で辺りを触り情報収集をした。 床は木製だ。 今度は立ち上がってみる。しかし急に地面が大きく揺れたため、しりもちをついてしまった。 行動をやめて初めて気付いた。 口元が濡れている。 舐めてみるとしょっぱかった。 あの女、そういえば手が濡れていたな・・・ その時京美はピンときた。 壁の方に行って、耳をくっつけた。 すると不規則に波飛沫の音が聞こえてくる。 「ここは船の上だ」 京美の予想通り船だった。大きくもなければ小さくもない、日本の漁船に化けていた。 乗組員は全部で五人。 今はその全員が甲板にいた。 その中で一番がたいのよい男が言った。 「上陸準備!上陸次第韓国組と合流する!」
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