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ライントンはすでにすべての部屋を調べ終わっていた。
だが京美はどの部屋にもなかった。
「大成の方か・・・」
そうつぶやき走っていった。
その時、さっき見張りから取った無線がなった。
周りの状況がわかるから取ったというのが、最大の理由である。
「応答せよ」
無線から声が聞こえてきた。
声の主はいらいらしていた。
ライントンは無線を無視して、大成のところへ向かった。
迷路のような構造に戸惑いながらも、曲がり角を曲がっていく。
再び無線から声がした。
「総書記亭にて侵入者が確認された。近くで警備しているものは、直ちに現場へ向かえ。なお、将軍様を人質にとる可能性があるため、接触しても侵入者を刺激することがないように」
ぶつっという音をたてて、無線は切れた。
止めた足を動かし、再びライントンは大成のところへ向かった。
四階にいた見張りは無線からの指示をうけて、下の階に下った。
そして一人が無線を口元に持ってきた。
「総書記亭四階の警備だが、報告がある。四階には侵入者が確認されていない。侵入者は三階以下にいると思われる」
無線が一度切れて、すぐについた。
「三階に侵入者が発見された。侵入者は銃を所持している」
無線を持っていた者は全員下の階に向かった。
螺旋階段で銃を構えながら、猛スピードで降りた。
三階に降りると、体勢を低くしながら音をたてないように静かに散った。
その時奥にあった丸柱から一人の男が銃を持ちながら走ってきた。
急いで銃を構えたが、男の方が早かった。
銃弾が見張りの太ももを貫き、その場に倒れた。
そして反対側の柱の陰に走り抜けてしまった。
「大丈夫か?」
仲間の見張りが駆け寄ってきた。
「俺に構うな!」
そう言って男が走っていった方を指差した。
その指示に従い、全員が男を追った。
取り残された見張りは痛みに堪えながら無線のスイッチを押した。
「侵入者の顔を見た。アメリカ人だ」
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