奪還

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「もう逃げられないぞ!」 見張りの一人が叫んだ。 「何をしても無駄だ。大人しく捕まるんだ!」 ライントンは銃を構えた。 それに反応して周りにいる全員が銃を構えた。 「まあ待て」 ライントンはまだ冷静である。 「待てるか!仲間を三人も気絶させたんだぞ!」 見張りの一人は構えている手を震わせながらかすれ声で言った。 「それは申し訳ないと思っている。ただここに来れば脱北という俺の夢に一歩近づくんだ」 「そんなの我々の知ったことではない」 「知ったことじゃないだって?俺と京美をここに拉致してきたのはお前たちだろ!」 大成が会話に入ってきた。 「頼むから京美と一緒に逃がしてくれ・・・」 「私たちの仕事は偉大なる将軍様のお屋敷に侵入したお前たちを捕まえることだ!」 「腐ってる・・・」 大成の顔は怒りに満ちていながらも、涙でぐしゃぐしゃという変な顔であった。 「無駄だ・・・何を言ってもこいつらには通じない」 ライントンが耳打ちした。 「いいか、このままでいくとどう転んでも死刑台送りは免れないだろう、とりあえず四階に逃げるんだ」 「動くな!」 大成が銃を見張りに向け、後退りをしながら螺旋階段に近づいた。 「行くぞ」 こっそりライントンが言うと一気に逃げ出した。 大成も振り返り階段を上った。その瞬間、何発もの銃弾が飛んできた。 果てしなく長い階段のように思えた。 リズムよくあがるライントンに対し大成は足をあげるのがやっとのようだった。 四階は将軍の部屋のようだった。 ソファが何個もあり、液晶テレビにクーラー、個室がたくさんあった。 壁には写真がかかってあり、よく見ると軍服を着た将軍の肖像画だった。 大きい窓からは前庭が一望できた。 すると前庭から拡声器で大きくなった声が響いた。 「将軍様はその部屋にはいらっしゃらない。人質をとっても無駄だ」
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