海の向こう

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ウォンは言った。 「諸君、二年に渡る工作活動ご苦労。この実績が功をそうして諸君の未来が栄えることを心から願う」 「あら、あなたがリーダーだったからここまでやれたのよ」 仲間の女が言った。 「買い被るな」 筋肉隆々の上半身を丸めて照れ臭そうに言った。 「買い被ってなんかないさ」 若い男の仲間が言った。 「ウォンはなんでもできた。密入国から諜報活動、そして拉致・・・」 指を折って話していた時に仲間が一階の倉庫から上がってきた。 胸には日本製のビールが五本抱えられていた。 「上陸する前に乾杯をしよう」 「いいね」 ウォンが低い声で言った。 四人は一人一本のビール瓶を持って、適当な所に腰掛けた。 「イヒョンも呼んだ方がいいかしら?」 女が聞いた。 「今はイヒョンの当番だ。どんな時でも見張りは必ずつける」 ウォンは厳しく答えた。 「さすがのウォンだな。妥協は一切しない」 「仕事しかできない人間だからな」 ウォンは静かに言った。 「じゃあ乾杯しようかしら」 「ああ、こんな調子じゃ乾杯の前に母国に着いちまうぜ」 「俺が音頭をとる」 若い男がそう言うと、四人は座ったままビール瓶を上に上げた。 「任務成功に乾杯!」 「乾杯!」 一斉にビールを飲み始めた。 「仕事言えばさ、ウォン」 若い男が言った。 「ウォンって元々いいとこの軍人なんだろ、なんでこんなことしてるの?」 「余計なことは話したくない・・・」 「ここだけの話、軍で何かヘマしちゃったの?」 シーンとなった。 ウォンは立ち上がり、若い男の方まで歩いていった。そして胸倉を掴みおもいっきり殴り付けた。 「生きて母国に帰りたかったら、俺の機嫌を損ねないことだ」 冷たく言い放ち、一階に繋がる階段を下った。 「イヒョンと交代してくる」
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