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軍の拘留所の廊下を歩いていた大成はウォンに連れられていた。
手錠が繋がれていて、大成は歩く以外何もできない状態だった。
「ここだ」
じめじめとした光りのない石床の監獄。
ウォンは手錠を解いて、蹴っ飛ばした。
大成はうつぶせになりながら、冷たい固い感触を感じた。
「お前の・・・お前のせいで・・・」
ウォンは怒っていた。
そして鉄の策を閉めてしまった。
それから拘留所での牢獄生活は続いた。
一日二食の食事をウォンが運んでくる以外は、一人孤独に過ごすのであった。
京美は今頃どうしているだろうか?
このことは知っているだろうか?
嫌なことはされていないだろうか?
考えることはみな京美のことだけであった。
一週間がたった。
さすがにやつれてきて、目には隈、髭が伸び放題と野性的スタイルになっていた。
それにも関わらず、与えられた食事にはほとんど手をつけなかった。
ウォンはそのことが気に入らないらしく、大成への暴力が日増しにひどくなっていった。
しかしそんなことはもうどうでもよかった・・・
だけどもう一度京美を奪い返せるチャンスがあるなら・・・
それが一パーセントであったとしても、大成は死に物狂いで京美を助けるだろうと自分で確信があった。
「京美・・・」
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