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ワンは大成を車に乗っけた。
「どこに連れていくんだい?」
大成は聞くが、ワンは答えない。
四人乗りの白い車は道路を飛ばしていく。
ワンが車を運転しており、後ろの二席を大成ウォンが占めていた。
ウォンは大成に黙れというサインを送った。
「軍隊に入ったのか。工作員は」
大成は返すように言った。
ウォンはつかみ掛かった。大成は足でなんとか抵抗する。
今の大成は他人を皮肉ることでしか、自分を押さえ付ける手段を知らないと感じていた。
「やめろ」
その命令でウォンは鼻息荒くして、大成から離れた。
「後輩のいいなりか?」
大成はまた挑発をするが、ウォンは今回は自制した。
大成はしばらく挑発を繰り返したが、反応がなくなってしまったのでやめてしまった。
奇妙な組み合わせの三人旅は数時間に及んだ。
ふと大成は思った。
さっき言われた、生き地獄というフレーズがなんとなくひっかかる。
どこに連れてかれるのだろう。
大成はそう思いながらも、だいたいの見当はついていた。
景色は高層ビルでなく、山が増えてきた気がする・・・
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