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リコルは頷く。二人の間に気まずい沈黙が流れ、風が吹く。
「……そっかぁ」
しかし、その沈黙はシナによって砕かれた。沈黙は、意外と脆かった。
「あの……僕──」
「いいよ? 言わなくてもいい。無理しちゃだめっ」
シナは知らない。リコルに何があったのか、リコルがどのような人間なのかを。
しかし、シナは知ろうとは思わない。自分にも、それなりの過去が存在しているから。
「じゃあさ、家に来なよっ!」
シナは手を取り歩きだす。多少強引ではあったが。
「えっ、あ、えぇぇ!?」
それに引っ張られる様にして、リコルも歩きだす。
「な、なんでいきなり……っ」
「うーん……リコルくんが可愛いからかな?」
「……え、えぇぇぇぇぇ!?」
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