〈Actionー1.HELL〉

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 前触れもなしに扉を開いたそのメイドに、オルグは視線を向けた。 「なんのようだ?」  分厚い本を膝元に置いて。荒れていた呼吸が徐々に納まってきたのか、そのメイドは背筋をぴんと伸ばし、言葉を放つ。 「遂に、産まれました。次期頭主となる息子さんが」  まさにその刹那──オルグは椅子を勢いよく倒し、立ち上がる。そして、メイドに詰め寄った。 「それは本当か!」  その剣幕に一瞬たじろいだメイドだったが、すぐに小さく頷き、それに応じた。 「そうかそうか……。なら、今から見に行かねば!」  最早普段の彼とは、取り巻く雰囲気から何までが全て違っている。  爛々と踊る光をその眼に宿しながら、彼は部屋から飛び出し、ただひたすらに長い廊下を真っすぐに走っていった。 「……へ、部屋……は?」  独り、メイドが呟く。  巨大で豪勢なこの屋敷。数えきれない程の部屋。何も考えずに飛び出したオルグは、数分後── 「……そういえば、部屋は?」  孤軍奮闘する羽目になったのだった。  後から駆け付けてきたメイドのお陰で、なんとか部屋の場所がわかったオルグ。  言われた部屋の扉を開く。 「あら、オルグ。少し来るのが遅かったわね」 「ラム! 子供はどこだ!?」  少しは妻・ラムの身を案じるべきであるのかもしれないが、今はそれどころではなかった。  慌てて駆け寄る。
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