〈Actionー1.HELL〉

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 ホロリと零れ、月光に煌めく刹那──クロノスドラゴンは、長い首を動かし、天を仰ぐ。  すぅぅぅ、と深呼吸をするような音。それは正しく、『火炎』を放つ予備動作。漆黒の龍によって、彼の人生は閉じられるのか。  ──すとん。  その恐怖。  そして彼は座り込む。  己の未来はもうない。  そう、絶望視して。  捨てられさえしなければ、こんな事にはならなかったのかな……。  押し寄せるのは虚無感。本当に、罪の無い人が死ぬ事があるのだ。そう、実感した。 あまりにも不幸で、人としての扱いをされてこなかった彼。  しかし。  せめて。  せめて最後くらい、抗ってやろう。彼は、放たれた灼熱の炎から目を逸らさない。  それは、己の最後をしっかりと感じ──見届けようとする、彼なりの悪あがき。  しかし、だ。目の前に現れた影により、それすらも妨げられてしまう。  そして、二人は出会った。  ──……。  座り込む少年と、クロノスドラゴンの間に、一つの人影が入る。その刹那、少年は頬に火傷しそうなほど熱い風を感じた。  火炎が放たれたのだろう。なのに、少年は此処に居る。確かにその生命の灯火は消えてはいない。  確実に。  少年の目の前で少年を守ろうとするこの人影こそが、その所為なのだろう。 「君は……だれ……?」  
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