6361人が本棚に入れています
本棚に追加
少女の手には、限りなく白銀に近い、神々しいとしか形容の出来ない三つ又の槍があった。
長く……長く、それはあらゆるものを浄化してしまいそうな程。暗闇に光る、太陽の如く。
そして、少女は紡ぐ。
「もう次はないらしいよ?」
刹那、少女の槍は鮮やかなモーションで手から離れていき、目を潰しそうな程強烈な光を放ち──消えた。
いや、その捉え方は間違っている。消えたのではない、槍は光となったのだ。
「……ガッ……ァ!」
大地に赤黒い血が、雨の様に降り注ぐ。槍は、クロノスドラゴンの喉を貫いていた。龍の眼は、死んでいる。
「……ふー……」
少女が一息吐くのと、時を同じくし、龍の巨体は地に倒れこんだ。
少女は手を天にかざすと、「爆ぜよ」と呟いた。その時、槍はより一層の輝きを放ち──爆発した。
大地が揺れ、砂埃が舞う。まさしく爆発的な爆風が起こり、木々はこれでもかと大きくしなる。
「これで一件落着っと!」
砂埃で何も見えない少年の耳に、少女の高い声が響いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!