15人が本棚に入れています
本棚に追加
その日から毎日投げた。
新のピッチングを見ていたし、父親の指導もあって、フォームはよかった。
新「いいじゃん!
構えたとこどんぴしゃ☆」
新に誉められて笑う健。
新「喜びすぎだぞ。
健は野球チームに入らないのか?」
考えてなかった。
キャッチボールで満足だったのだ。
健「あーさんは引っ越しても野球やるの?」
新「やるよ。そんで、いつか健と勝負をするんだ。」
このとき健の目標は決まった。
☆全国大会出場☆
中学のときでも
高校のときでも
大学のときでも
社会人でもじじいになっても、新と会う日を信じて…
そしてありがとうを
言うために…
新「健、いったぞー」
帰ってきた球をあわてて捕った。
健「あーさん。最後の一球見てほしいんだ?」
新「おう、こい。」
健はおもいっきり振りかぶった…
足を高く上げ、そこから足を着き思いっきり投げた。
ズバンっ……
夕日の差し込む河原に
一人の投手が魅せた一球だった。
新「健…」
黙り込んだ。
小学二年生の投げる球ではなかった。
どれだけ練習したのか。
どれだけ投げたのか。
新「健!ありがとな。」
そう言って新は、微笑んだあと、ボールを返し、後ろを向いて手を振りながら帰っていった。
その顔に少し光る涙が見えた…
最初のコメントを投稿しよう!