健のはじまり

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その日から毎日投げた。 新のピッチングを見ていたし、父親の指導もあって、フォームはよかった。 新「いいじゃん! 構えたとこどんぴしゃ☆」 新に誉められて笑う健。 新「喜びすぎだぞ。 健は野球チームに入らないのか?」 考えてなかった。 キャッチボールで満足だったのだ。 健「あーさんは引っ越しても野球やるの?」 新「やるよ。そんで、いつか健と勝負をするんだ。」 このとき健の目標は決まった。 ☆全国大会出場☆ 中学のときでも 高校のときでも 大学のときでも 社会人でもじじいになっても、新と会う日を信じて… そしてありがとうを 言うために… 新「健、いったぞー」 帰ってきた球をあわてて捕った。 健「あーさん。最後の一球見てほしいんだ?」 新「おう、こい。」 健はおもいっきり振りかぶった… 足を高く上げ、そこから足を着き思いっきり投げた。  ズバンっ…… 夕日の差し込む河原に 一人の投手が魅せた一球だった。 新「健…」 黙り込んだ。 小学二年生の投げる球ではなかった。 どれだけ練習したのか。 どれだけ投げたのか。 新「健!ありがとな。」 そう言って新は、微笑んだあと、ボールを返し、後ろを向いて手を振りながら帰っていった。 その顔に少し光る涙が見えた…
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