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暫しの静寂を保っていた体育館内は、やがてざわめき出す。唖然とした表情を浮かべながら小声で色々と話す生徒達の視線は全て、艶を帯びた腰まである黒髪の少女へと向けられていた。
体育館の舞台に立っていた数人の人達も、その少女を怪訝そうに見やる。
少女は生徒達の視線を気にすること無く、舞台上に立つ人達に不適な笑みを向けたまま微動だにしない。
「……君は、今何と言った? 我々『生徒会』を何だって?」
生徒達の喧騒を切り裂くように、舞台上に立つ『生徒会』の一人が縁のない眼鏡を指で押し上げながら問いかけた。
落ち着いた口調ながらも、眼鏡越しに少女を見つめるその瞳には、明らかなる敵意が含まれていた。
いや、彼だけではない。舞台上に立つ『生徒会』の人達全てが同じように少女を見つめている。
それに気づいた生徒達は、皆一様に恐怖の色が瞳に宿り出す。そして、少女から少しでも離れようと距離を取った。
生徒達にとって、『生徒会』は絶対的なる存在。その存在を敵に回した少女の味方をするものはいない。『生徒会』には勝てないから。
"勝てないと思っているから"。
少女は、自分から離れていく生徒達を一瞥した後に再び『生徒会』へと視線を向けて、口角を更につり上げた。
そして、言葉を放つ。
「何度だって言ってあげる。私は貴方達が大嫌いなの。同じ生徒なのに、同じ立場の筈なのに……当たり前のように私達の自由を縛る貴方達に腹が立つ。
だから、ね。
壊してあげるの。貴方達『生徒会』を」
口元だけの笑みを浮かべて、鋭く相手を睨みつけた少女は、
そう、宣戦布告した。
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