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腰まであるような長髪を一つで括って、狐目だが爽やかな顔付きで、好青年のような気質を醸し出している青年が近づいてくる。
「何やってんねんな炎馬。遅刻するでぇ?」
「……」
「って無視かいな!! アンさん余裕ぶちかましとったら遅刻やで。急ぎや」
「……お前誰?」
せっかく人が桜の木を利用してしみじみと情勢にふけっとるのに、なんやこのアホンダラ……って俺様まで関西弁になっとるやないか。
「あぁ!? 中学校も同じのワイを忘れたと?」
はて? 本当に誰だったかな……記憶の奥底まで丹念に探してみる。
「あ、思い出した。もしかして友人Aく……」
「違うがな!! 友人Aってなんやねん。名前ですらないがな。アンさん真面目に考えたかぁ?」
流石は関西人。怒涛のツッコミが押し寄せてくる。だがしかし、まったくいきなり関西弁で話す不審者の友達などいない。
「ワイは長谷川 健一郎や。忘れんなや」
「あ!! 確か次男だけど一郎の健一郎ではないか。あーとりあえずキモい」
俺様はささやかな暴言と共に次男だけど健一郎君を無視して走り出した。
泣きながら後を着いてきた健一郎に向かって罵声を浴びせたのは言うまでもない。
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