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「ううっ・・・」
彼は目を覚ます。
そこが病院のベッドの上ならどれほど良いだろう・・・
だが、
目に入って来たのは、見覚えのある青白い洞窟の天井であった。
「ん?」
焚き木の燃える音に気付いた彼は、音のする方へと顔を向ける。
そこには、誰かが起した焚き火の炎が揺れていた。
「目覚めたようね!」
背後から掛けられた声に反応し素早く立ち上り振り向くと、腰の拳銃を声の主へと向け、彼は叫んだ!
「誰か!」
そこには・・・
銃口にも動じない、裸の女性が立っていた。
透き通る様な白い肌、白銀の髪をポニーテールのように後ろで結び、その先端は腰まである。
張りのある大きな胸、モデルの様に細く、それでいて柔軟そうな身体、身長は170前後と推測でき、エメラルドの様な緑の大きく魅惑的な瞳でこちらを見つめている謎の女性。
ジンは、銃口を下ろさず再度、彼女に話し掛けた。
「誰かと聞いている!先程話し掛けて来たんだ、言葉が判らない訳ではあるまい!」
そう言いながら相手の出方を見るが、裸の彼女に目の行き場をなくし少し顔をそらした。
彼女は、それを見て少し微笑むと話し始める。
「なんだ?恥じているのか?女を知ら無い歳でないでしょ?まぁいいけど・・・
我が名は・・・【シルヴァ】妖剣シルヴァ。そなたが引き抜き、目覚めさせしあの剣よ!」
その彼女の表情や言葉に偽りは無く、現にこの場所ではスケルトンに襲われ、現実では有り得ない事を今まで体験して来た。
目の前に居る彼女ですら、明かに異国の人種であるのにも関わらず、こうして話している自分に戸惑い、必死に冷静になろうとしているのだが・・・
「これなら信じられる?」
戸惑う彼を見ながら、彼女はそう言うと目をつむる。
すると身体がうっすらと光り出し、次の瞬間強烈な閃光と共に見覚えのあるあの剣へと姿を変えたのだ。
「!」
宙に浮いたその白銀の剣は、またすぐに発光し全裸の女性の姿へと変わりジンの前へと降り立つ。
「貴方?この世界の人間ではないのでしょ?私を目覚めさせた時、貴方の記憶の一部が見えました・・・
私も眠りについてしばらく経つのでこの世界の現状は判らないけれど・・・あれは、この世界の物では無かったわ!」
ジンは、いつしか拳銃を下げシルヴァの言葉に耳を傾けていた。
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