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「判りました。私が眠りにつく以前のこの世界の記憶、貴方に見せて上げましょう」
そう言うと、シルヴァはジンに近寄り両手を彼の首に回すと、まるでキスでもするかの様に、顔を近づけ、彼の額に自分の額をあてると目を閉じた。
ジンも、彼女に合わせ目を閉じる。
すると、彼女の記憶が自分の記憶の様に、大量に頭の中に流れ込んで来たのだ!
太陽歴1896年。
それが彼女の最後の記憶であった。
【エデン】と呼ばれるこの世界・・・
剣と魔法が支配し、エルフやドワーフさらには悪魔や天使、多種多様な種族が共存、あるいは対立している世界。自分がいた世界とはまるっきり掛け離れた、異世界と言うに相応しい世界が、彼【高杉 神】の居るエデンなのである。
ちなみに彼女、シルヴァの以前の主は太陽歴1896年に悪魔と人間の大戦で死亡し、ここに剣と一緒に埋葬されたらしい。
ジンは、それを祭壇だと思いこんでいたのだが・・・
「これで少しはこの世界の事が判ったかしら?」
そう話し掛けられ我にかえるジン、彼女はすでに焚火の横へと腰を掛け、焚き木をくべている。
「ああ、確かにこの世界の事は判った。その前に、これを着てくれないか!目のやり場に困る!」
彼女は気にしていないのだがジンは目覚めた時、自分に掛けてあった麻布のマントを彼女の肩にそっと掛け、その側に腰を下ろし話し始めた。
「俺のいた元の世界には戻れるのか?」
「それは判らない・・・ただこの世界は貴方が思っている以上に広大で、色々な魔導士や術者がいる。
彼等なら・・・帰る方法も知ってるかも知れないわ!」
シルヴァの話しに希望の光を見い出した彼は、元の世界へ戻るべく、その方法を探す旅に出る事を決意する。
だが・・・
こちらの世界を1人で出歩くには知識も何も無く、明らかに自殺行為と判断した彼は、シルヴァに同行を求めるべく話し掛けた。
「シルヴァ。君さえ良ければ、これから元の世界へ戻る方法を探す旅に同行してくれないか?
俺にこの世界は余りにも無知で過酷すぎる!協力して貰えたら助かるのだが・・・どうだろう?」
と彼女の表情を見守る。
「それは無理。私はこの洞窟からは出られないの。前の主との契約があるから・・・貴方が私と新たに契約するなら話しは別だけど、どうする?」
「契約?まさか・・・寿命をくれとか呪われるとかじゃないだろうな?」
困った表情のジンを見詰め、クスっと笑いながらシルヴァは話しを続けた。
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