蛍光灯・首輪・弁当

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 それから数日が経った。  ジャンクはまだ幼いくせに無意味に鳴かず、大人しくて賢かった。そのせいもあってか、俺とジャンクの生活は新鮮で充実感があった。 「おはよー、ジャンク」  その日はジャンクと会ってから、初めての休日だったので、どこか広い場所へ連れていってやろうかと思っていた。カーテンの隙間から零れる朝日が痛いほど眩しい。  俺は新聞を取りに、玄関へ向かった。目的の品を掴み、居間へ戻ろうと引っ張った。  ガタン――  新聞の支えを失って、一緒に挟まっていた何かが音を起てて落ちた。 「んぅ?回覧板か…」  俺はそれを拾い上げ、新聞と一緒に居間へ運んだ。  新しい新聞に一通り目を通し、めぼしい記事が無い事を確認すると、俺は回覧板に手を伸ばした。  何人もの手を渡ってぞんざいに扱われている回覧板は、角が落ち、黒く汚れていた。俺もまた他の人と同様にぞんざいな扱いで、内容を確認しようとした。  回覧板の黒さとは対象的な白い紙が、ひらりと床に落ちた。 「よっと…」  俺は目一杯手を伸ばし、落ちた紙を拾った。
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