第1章

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走り出して数分、気付いたら中庭みたいなところにいた。 あ…ここは大学だから、キャンパスっていうのかな。 「あの、そろそろ放して。」 もう我慢も限界。 壱、意味分かんないし。 「あぁ、ごめん。」 壱は意外にも簡単に手を放した。 謝るくらいなら最初からしないで欲しい。 「何でこんな所まであたしを誘拐したんですか?」 相変らずあたしは不機嫌。 「好きだから。」 そうなんだー。 ………って、はぁ??? 「馬鹿にしないでよ。あたしそんなに軽い女じゃないから。」 あたしはぶすっとしながらさっき来た道を戻り出した。 イラつく…、壱の軽々しさが嫌だ。 寿よりマシだと思っていた自分が恥かしい。 「心純ちゃん、信じて??俺…実は前から心純ちゃんの事知ってたんだ。」 「どーせ嘘でしょ??」 「本当。」 即答の壱。 それがあたしの気に触った。 「嘘よ。」 「本当。」 「嘘。」 「本当。」 「嘘。」
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