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「…でも…"外"…なんて……危ないわよ」
少女は当然と言えば当然な反応を見せる。
それもそうだろう。
最近では大人になった者でさえ、あまり"外"には近付かなかったのだから…。
「大丈夫だ」
青年は力強くそう言った。
「でも…"外"は魔物が出ると聞いたわ」
「そんなのウソにきまってる」
「"外"にはたくさんの毒花があるって」
「触らなければいい」
「"外"では動物達が悪戯をするの」
「相手にしなければいい」
「"外"には…」
「もういいよ」
ことごとくつっかってくるシィアの話を強引に遮ると、青年は小さく溜め息をついて尋ねた。
「シィアは俺と行くのがイヤか?」
「違う…」
シィアは小さく首を横に振った。
青年は身を乗り出して、
「だったら…!!」
しかし彼女はまたしても小さく首を振った。
「違うよ、違うの。
そうじゃなくてね……私がまだトリースを受けてない、から……」
少女は申し訳なさそうに顔を歪め、またそこに悲しそうな顔も浮かべた。
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