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ちなみにセルミアでは16歳の誕生日にこの儀式を受けることになり、当然この国で言う大人というのは16歳からだ。
自分で自分を切りつけられない者、痛みに耐えられない者は一人前として認められない。
己の色に染めて装具を生み出す。
そこで初めて大人と言えるようになるのだ。
「…俺じゃダメか?」
「え!?」
遠慮がちに尋ねる青年に、少女は驚きを隠せず聞き返した。
「俺じゃシィアの立合人にはなれないか?」
立合人とはトリースにおいて最も重要な役でトリース中はジャスと呼ばれる。
そしてその役目は儀の進行をと監視を行なうことだ。
勤めるのに必要な条件は16歳以上、つまり大人であり、魔法力がAランク以上であること。
魔法力は低い順に
F、E、D、C、B、A、特A、S、特S、超S
の10段階ある。
Aランク以上というと町にいる神官や、最低でも30~40年くらい魔法を使い続けてきた者がやっとなれる称号。
彼の年ならCランクあれば良い方だろう。
だが彼は持って生まれた才能の助けもあってか、わずか16歳にして特Aランクの称号を持つ。
元の予定なら、町一番の神官を呼んで行なうはずだった。
それもたくさんの人に見守られながら。
それが今は……。
だが別に青年がその役目を担うのが嫌なわけではなかった。
むしろ若干16歳にしてその称号に辿り着いた彼に立合人をしてもらえるのは申し分ないことだろう。
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