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「…ローワン様。お目覚めの時間ですよ」
「ん……」
黒いコートを身に纏った短い金髪の男性が、寝室のベッドに横になってもぞもぞとしている青年を起こそうとしている。
その男性は耳や首の部分が人工的な素材で出来ている―――いわゆる『ルーンフォーク』という種族だ。
「ローワン様。皆さんが下の階でお待ちですよ」
「んあ……もうそんな時間か」
ローワンと呼ばれた青年はやっとベッドから起き上がる。
ボサボサの黒髪頭を掻きながら大口を開けてあくびをする。
「あーほら、はしたないですよ」
ルーンフォークの男性はローワンの寝癖を自前の櫛で梳かした後、着替えをパッパと済ませた。
肩部分が丈夫そうな革で出来てるロングマント、右手に銀の腕輪『マナリング』、そしてソフトレザー。どうやら魔術師のようだ。
ちなみに彼の種族は人間だ。
「そんじゃ飯食いに降りるか。ファルセット」
「かしこまりました」
ローワンはファルセットと呼んだルーンフォークと共に寝室を後にした。
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