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ここ『風の麦亭』は冒険者達の主な拠点『冒険者の宿』である。
仕事を探しながら食事出来る様、1階部分はそこらの酒場とさほど変わりない。
2階部分は主にこの宿を拠点として活動する冒険者用の寝室だ。
1階に降りると、一つのテーブルで朝食を食べ終わったらしき3人の姿を見つける。他に客はいないようだ。
「よぅ朝寝坊さん。よく眠れたか?」
ローワンの姿を見つけた、3人のうち短い茶髪でやたら軽装の人間の男がニカッと笑いながら問う。
「そこそこは眠れた方だ、ヤシュトー」
ローワンの返答にクックと笑うヤシュトー。
「朝食を済ませてはどうだ? こちらはもう済んだぞ」
3人のうち、たてがみが赤く、体が真っ黒の、明らかにトカゲ人間な人物が言う。
リルドラケン―――始まりの剣を手にしたドラゴンを祖先とした種族。
剣の加護によって、短時間ではあるが背にある翼を使って空を飛べる。ついでに彼らの堅固な鱗はちょっとの攻撃では弾かれる。
「ああ、そうしとくよ。親父ー、朝飯ー」
「おう、ちょっと待ってな」
テーブルについたローワンはふと溜め息を吐く。
「あらローワン。まだ寝足りないの?」
そう問いかけてきたのは3人のうち、唯一の魔術師風の女性だ。ローワンと同業者っぽい。
「あんだけ寝れりゃ満足だぜ、セリエル」
あらそう、と返すセリエル。
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