そいつは突然、訪れた。

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叫ぶ余裕もなく慌てて扇風機の強風をGに向けた。 (来るなあああああっ!) そんなことを心の中で叫びながら。 流石に体制を崩した奴はフローリングに墜落した。 なんと醜い姿だろう。 ひっくり返った奴はなんと、その持ち前の柔軟さで起き上がってみせ、弟の机へと上った。 「…………」 膠着状態がしばらく続いた。多分、30秒程度だろう。 私は扇風機の風を奴に当て、距離を取った。 幸い奴との距離は遠ざかった。 「いまだ!」 そう思い、私は情けも同情も憐憫も一切なく、殺虫剤を発射した。   と こ ろ が 。 奴はしぶとかった。 殺虫剤をかけても少しよろけているだけで全く効いていない。 しかも、ここで大問題が発生した。 プシュ――――……ゥ 「……え」 そう、こんな時に限って。  殺 虫 剤 が 切 れ た  
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