第4章 覚悟

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「ねぇ帰りにカラオケ寄ってかない?」 女子特有のトーンの高い声が龍夜の鼓膜を振動させる。 龍夜は耳を塞ぎたくなる衝動を抑えて、女子の集団をかき分けるように廊下に出た。 廊下に出てもノイズは鳴り止むことはなかった。 龍夜はなるべく急いで昇降口まで行き、下駄箱から靴を取り出し、一気に校門まで歩いて行く。 校門を出てからしばらく歩いた所で龍夜は立ち止まり、深いため息をついた。 (………まったく………。学校って所は何であんなにうるさいんだ?) 再び歩き出す龍夜。 (………帰りにホームセンターで電球を買って行かねぇと………確か60Wだっけな………) 龍夜は帰り道にあるホームセンターに立ち寄った。 店内に入った龍夜は電化製品売場を目指す。 「………60Wっていっても色々あるな………。………どれを買えばいいんだ………」 龍夜は、どれを買うか迷っている振りをしながら、右手の指に輪ゴムをかけた。 (…………右後方の奥から3列目の棚………誰かが隠れてこっちを見てやがる………) 龍夜にはそいつを見る事は出来なかった。 だが、魔力察知能力の高い龍夜は「何者かが潜んで、こちらを見ている」という確かな気配を感じていた。 (………魔力をもってるって事は悪魔かグリードの参加者か………まぁ無関係の人間だとしても関係ないがな………俺を着けて来る方に責任があるんだからな………) 龍夜は何者かに気付かれないように神経を集中させる。 (………今の位置だと輪ゴムじゃ仕留められないな。………かと言って、こんな人目に着く場所でナイトメアは使いたくない。………あと1歩………あと1歩だけ棚から出て来たら仕留められる………  ………しかし、なんだ? この違和感は………?) 龍夜は、言い知れぬ不安を抱きながらも、攻撃の機会を待ち続ける。 次の瞬間、何者かが移動を開始した。 (………よしっ!! ………だが、まだだ………まだ確実にシトメられる位置じゃない………あと、半歩………あと、半歩で確実に仕留められる間合いに入る………) 龍夜の願いが通じたのか、何者かは半歩横に移動した。 (入った!!) 相手が間合いに入った刹那、龍夜は振り向き様に輪ゴムを射出した。
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