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「ねぇ帰りにカラオケ寄ってかない?」
女子特有のトーンの高い声が龍夜の鼓膜を振動させる。
龍夜は耳を塞ぎたくなる衝動を抑えて、女子の集団をかき分けるように廊下に出た。
廊下に出てもノイズは鳴り止むことはなかった。
龍夜はなるべく急いで昇降口まで行き、下駄箱から靴を取り出し、一気に校門まで歩いて行く。
校門を出てからしばらく歩いた所で龍夜は立ち止まり、深いため息をついた。
(………まったく………。学校って所は何であんなにうるさいんだ?)
再び歩き出す龍夜。
(………帰りにホームセンターで電球を買って行かねぇと………確か60Wだっけな………)
龍夜は帰り道にあるホームセンターに立ち寄った。
店内に入った龍夜は電化製品売場を目指す。
「………60Wっていっても色々あるな………。………どれを買えばいいんだ………」
龍夜は、どれを買うか迷っている振りをしながら、右手の指に輪ゴムをかけた。
(…………右後方の奥から3列目の棚………誰かが隠れてこっちを見てやがる………)
龍夜にはそいつを見る事は出来なかった。
だが、魔力察知能力の高い龍夜は「何者かが潜んで、こちらを見ている」という確かな気配を感じていた。
(………魔力をもってるって事は悪魔かグリードの参加者か………まぁ無関係の人間だとしても関係ないがな………俺を着けて来る方に責任があるんだからな………)
龍夜は何者かに気付かれないように神経を集中させる。
(………今の位置だと輪ゴムじゃ仕留められないな。………かと言って、こんな人目に着く場所でナイトメアは使いたくない。………あと1歩………あと1歩だけ棚から出て来たら仕留められる………
………しかし、なんだ? この違和感は………?)
龍夜は、言い知れぬ不安を抱きながらも、攻撃の機会を待ち続ける。
次の瞬間、何者かが移動を開始した。
(………よしっ!! ………だが、まだだ………まだ確実にシトメられる位置じゃない………あと、半歩………あと、半歩で確実に仕留められる間合いに入る………)
龍夜の願いが通じたのか、何者かは半歩横に移動した。
(入った!!)
相手が間合いに入った刹那、龍夜は振り向き様に輪ゴムを射出した。
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