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よかろう! これが我の怒りだ……。対象、時の管理者。魔力封印!」
ベイルードがそう叫ぶと黒い光が生み出されリティアのいる方向に飛んでいく。
ヒュン。
そして霧を突き抜けて消えた。
遠矢「リティア、御愁傷様。さて、あんたは元の場所へ帰りたいんだよな。エルシャンクの名にかけて帰してやりたいのはやまやまなんだが今は無理だ。あんたクラスの存在だと送還するには魔力量が圧倒的に足りない。」
ベイルードは遠矢を観察するように見つめる。
ベイルード「魔力が足りない? そんなはずは無かろう? 遠矢と言ったな。お前には並みならぬ魔力を感じるがな。」
遠矢(お見通しか。)
カーバンクル「…………なんだろ、この緊張感?」
遠矢「…………あんたは騙せないか。俺はエルシャンク師匠に魔力の大部分を封印されているんだ。まあ、その高い魔力のお陰で幼少時に師匠に出会ったんだがな。その封印を解かない限りお前さんを送り返す事は出来ない。すまないな。」
ベイルード「エルシャンクの施した封印………か。」
遠矢「俺はこの魔力のお陰であやかしに狙われ続けた。それを救ってくれたのが師匠だ。高すぎる魔力を封印する事によってな。」
カーバンクル「………遠矢。」
遠矢「まあ、俺には過ぎ足る力だったがな。力あるものは野心に目覚めるか他者に利用されるか………そのどちらかしかない。俺の持論だがな。」
ベイルード(この若さでここまで悟っているとはな。過去によほどの事があったと見える。)
ベイルード「お主は自身の力に否定的なのだな。お前の言う事はある意味正論だ。だが力ある者が力を振るわぬは間違いだ。力ある者は弱き者を助けるのに力を振るわねばならん。何のために天が与えた力か。その力を有効に使わないでどうする!」
遠矢はその言葉に心を射たれた。
遠矢(こいつ、師匠と同じ言葉を………?)
遠矢「あんたもか。」
ベイルード「何?」
遠矢「あんたも師匠と同じ事を言うんだな。」
そう叫んだ遠矢の顔は複雑な表情をしていた。
遠矢「あんたが帰れるように協力はするが、俺は時魔術はつかえないぞ! 俺は送還師だからだ。」
ベイルード「何だと?」
遠矢「確かに俺は時の力を使える。だが、自身で修得はしていない。ただ力を行使できるだけだ。ある物を使ってな。」
遠矢は制服をはだけさせある物を見せる。
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