異世界から来た者

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俺の名は榊遠矢、公立竜が丘高校の二年生でこの物語の主人公だ。表の顔は学生だが、裏ではある協会の構成員をとある事情でやっている。 その協会とは世界に多数の支部を持ち異界の者と戦う事を生業とする退魔師集団で名を白銀と呼ぶ。 俺はその中の下級退魔師に過ぎないのだが、先輩である草薙先輩には何故か一目を置かれている。 まずは白銀と言う組織について話して置こう。 遠矢「白銀は古から存在する政府直属の国家機関で人々に降りかかる災いであるアヤカシと呼ばれる魔物を退治する機関である。当然、国家組織の為、規律は厳しい。俺達は言うなればただの候補生なのだ。白銀は退魔師の素質を持つ子供を見つけ出し育成している。俺の場合は偶然、白銀の退魔師とアヤカシとの戦いに巻き込まれその時に退魔師としての力が発動しアヤカシを撃退した。しかし、アヤカシの存在を見てしまった為に拘束されてしまった経緯が有るわけだ。まあ、その事があり俺の人生はすっかり非日常に変わってしまった。」 俺が物思いに浸っていると先輩が話し掛けてきた。 先輩「おい! 遠矢?何を考えている? 今は哨戒任務中だぞ!後にしろ。」 「あっ! すみません草薙先輩。」 遠矢は思わず目の前に立っている長刀を握った男を見る。 この人は草薙真と言って俺の所属する部隊の小隊長であり一年上の学園の先輩でもある。 草薙「遠矢、お前が考え事とは珍しいな? 悩み事か? 何かあれば俺に言えよ。相談に乗ってやる。」 草薙先輩は真剣な眼差しで言った。 「ええ、ありがとうございます。大丈夫です。」 俺は先輩にそう言うと腰に挿した武骨な剣に手を掛ける。 「先輩! 今日は静かですね。」 俺は空に浮かぶ満月に目をやる。 草薙「そうだな。だが油断大敵だぞ。間も無く他の隊員も哨戒任務から帰ってくる。気を引き締めろ!」 「分かりました。しかし先輩、こんな場所を見回りとは上は何を考えているんでしょうか?」 俺達がいる場所は町外れにある山の神社である。本来聖なる場所である神社は見回りは外されている筈なのだ。 草薙「それに関しては俺の憶測だがどうやら最近、結界の一部にほころびが生じているらしい。」
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