S姫の歎き

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S姫の歎き

総て無駄だと歎いた舌の根でさえも 未だあの人が愛しいと吐き続ける、月霞む夜 ばら撒いた欲望は幾つ満たされるのでしょうか ハクバのオウジサマ、ハヤくムカエにキテクダサイ 美しく彩られた寝台に横たわって ただ、甘い甘いだけの夢を見る 手首に紅い線を重ねて微笑むの 痛みこそが生きてる証、と 繰り返すだけの毎日に飲み込まれないようにと 恋に恋する夢見る乙女曰く、星降る夜と満月の夜は運命を繋げると云う。 忘れられない幸せだった日々は 嘲笑うかの如く幸せを貪る 笑顔は何時しか色を落とし、鎖となり私を締め付け続ける 罪を創った私が罰を受けなければならない。 全て条件が揃ったある真夜中 響き渡った赦しを乞う声と塗り潰すサディストの笑い声。 来世でまたアイシアイましょうオウジサマ 貴方に良く似た男性は、数え切れないほどアイシテしまいました。 ハヤくムカエにキテ! 待ちくたびれる前に。
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