道を違えた恋人

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道を違えた恋人

もう唱えないで震える唇で 気を抜けば目蓋から涙を零してしまいそう 優しい笑顔に隠された、痺れるようなその毒に犯されてしまいました 握り締めたそのナイフで、私を貫いてください 滴る紅い紅い血液も全て、貴方に捧げましょう 聳え立つ純白の城、開かずの錆び付いた門 開けられるは貴方のみ 遮断された世界は二人きり 永遠を求め続け、辿り着いた孤独 白く美しい手を穢た此の手に重ね微笑んでくれました まだ云わないで覚悟が無いのなら 気を抜けば吐き続けてしまいそう 悲しい横顔に閉じ込められた暗闇に迷い込んでしまいました 握り締めたその拳を解いて 千切れた喉を、握り絞めて 空虚な夢ばかり見る私の息の根を止めてください 呪いの言葉、此の身を縛り付ける 悲しい薔薇が散り逝く瞬間に眠りに堕ちる 冷たく優しい腕の、中で
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